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manga freak 's room 漫画フリークのレビュー部屋です。 今まで読んだ様々な漫画やコミックのレビューや感想、批評を独断と偏見で語ってます。 同人誌とかはありません。
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様々な漫画から影響を受けている漫画。


色々な所で賛否両論分かれている漫画。
望月峯太郎自体が少しクセのある漫画家なので、本作品に限らず、好き嫌いが別れるのは仕方が無い。

修学旅行の新幹線の中、トンネルの中で突然地震が発生し、気を失う。気がつくと周りはみんな死んでいて
生き残った二人とともに三人で脱出を図るが、男のほうが発狂(?)し、いなくなってしまう。 残された二人は
トンネルから抜け出し東京を目指した。

位置付けが難しい内容であるが、漫画の出だしはさいとうたかお『サバイバル』 に酷似している。
わけのわからない事態から、それが謎のカタストロフだったことを後に知る、また、その過程に起こる極限状態に置かれた人間の心理模様などは、梅図かずおの 『漂流教室』 に通ずる箇所が多い。

このように様々な漫画の影響を受けつつ、自分なりの世界観でまとめた漫画。と、ここまで書くと聞こえはいいのだが、この作品が賛否両論分かれる最大の理由はそのラストにある。

ラスト、はっきりいって何がなんだかわからないまま終わってしまう。結局、この災害の原因は何だったのか?
その辺が曖昧なまま、“想像にお任せします” といった感じ。

う~ん、と唸ってしまう。ここは作者の狙いなのか、それとも作者の “逃げ” なのか。

“世界の終末” を描いた作品は多い。小生も好きなジャンルの一つであるが、どの漫画も起承転結をある程度明確にしている。そこに作者の終末思想の表れがあり、読者にお任せします、はそれら全てが成り立った上でのそのさらに先の話である。

このラストのせいで、この漫画は “駄作” になってしまった。漫画も映画も、娯楽作品といえるものは全て同じだと思うが、やはりラストは大事なのだ。特にある程度の長編漫画には、漫画評価におけるラストの比重は大きい。

個人的には好きな漫画家の一人なので、あまり辛口なことは言いたくないのだが、それでもオススメとはいえない作品。残念。

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棋士には月が良く似合う?




以前、囲碁を題材にした漫画、『ヒカルの碁』 を紹介したがこちらは将棋である。

ヒカルの碁はジャンプなので、対象年齢は小中学生生くらいまでだが、この漫画はスピリッツで連載され、大人向けである。

この漫画の特徴を一言でいうと(俗語で申し訳ないが) “イッちゃってる” 漫画である。
ヒカルの碁のように未来ある少年たちが互いをライバルであり友人として、共に成長していく~のような明るい内容ではない。対局中の時間軸はかなりゆっくりと進み、まるで登場人物がおかしな幻影を見ているかのような描写が多い。また、対局中に泣いたり、吐血、挙句の果てには失禁も・・・。この漫画を読んでいると 「将棋の棋士ってこんな頭おかしい人ばかりなのか?」と疑いを持ってしまう。

大まかな粗筋は、主人公氷室将介(名前もすごい・・・)は天才棋士であり、高知から上京する。その後数々の好敵手を倒し、最大のライバル滝川と対戦する。。。

この手の漫画は、どうしても普段の生活編と対局編に分かれる。通常→対局を繰り返すのだ。ヒカルの碁は対局場面の割合が、他と比べて圧倒的に少ないので囲碁のルールがわからなくても楽しめる内容になっている。

月下の棋士も、必ずしも将棋の知識は必要ないが、対局の話も多いので、知識があるのとないのでは面白さは違うと思う。

なんだか怪しげな漫画のように描いてしまったが、内容は面白いし、画もかなりレベルが高い。この漫画でも千駄ヶ谷にある将棋会館が登場する。小生は当時高校生で、予備校に通うために千駄ヶ谷駅を電車で通っていたのだが、その頃、千駄ヶ谷駅前の工事の風景が、漫画のなかでも描かれていたので驚いた記憶がある。そのあたりが妙にリアルで、少々恐怖感も覚えさせられたほどであった。

内容が面白かっただけに、惜しい点も多い。一つ目は、やはり途中から飽和状態になってしまったということ。
毎回同じような対局が続くと、どうしても読者にダラダラしてきた印象を与えてしまう。長編漫画の一番難しいところ、それは抑揚をつけることである。あまりにもテンポが一定になってしまうと、それはその漫画のが既に晩年に来ていることを意味する。二つ目は、ドラマ化されたこと。今更語ることも無いが、ドラマ化は漫画のメディア化の中で一番最悪な結果をもたらすことが多い。アニメは特に期限が無いので、大幅に内容を変えられることはそうはない。だが、ドラマ化となると、約3ヶ月の間に収めなければならないので、内容は大幅に変えられてしまう。漫画は漫画で終わり、有終の美を飾ったまま終わってほしいのだ。

女性ウケはよくないと思われる。
好き嫌いの別れる漫画である。

余談:
小生は将棋は簡単にしか知らないが、それでも初手端歩突きは意味ないと思うぞ・・・。

3人の男たちの生き様を車椅子バスケを通して描く





車椅子バスケ。
あまり馴染みのない競技だ。私も含め、パラリンピック等でなんとなく知っている程度の人がほとんどだと思う。

作者は「スラムダンク」や「バガボンド」でお馴染みの井上雄彦。
言うまでもなく、画や間のとり方に特徴がある漫画家だ。

スラムダンクが曖昧なまま終わってしまい、(私の勝手な想像だが、この人もジャンプの編集者に漫画をめちゃくちゃにされた漫画家の一人ではないだろうか?ジャンプ漫画はいかにも作者の意向と反している内容になって終わるパターンが多い気がする。作者が「バガボンド」を“講談社”で書いていることも何かを示唆している?)
「バガボンド」で再び人気が復活した作者であるが、その傍らで不定期連載としてこの漫画を描いている。

作者の漫画は読みやすいし、なんとっても画がいい。だが、このリアルは私にはイマイチなのだ。
作者は特に障害者スポーツを同情的に描いているわけでも悲観的に、または感動的に描いているわけでもない。よく言えば中立的に描いているのだが、それが逆に物語を平坦なものにしてしまっている。

「スラムダンク」のときは、作者の意気込みが感じられた。一話一話に、漫画を面白くしようという気持ちがあったし、実際読んでいてとても楽しかった。キャラクターは、メインもサブもしっかりしていた。「スラムダンク」についてはまた別の機会にコメントしたいと思う。

「リアル」はまず、キャラクターの設定が弱い。主人公は3人いて、それぞれの共通点はバスケット。
それぞれのキャラクターにこれといった強み(特徴)がない。一年に一冊くらいの割合でしか、新刊が出ないのだが、毎回読んでもすーっと読み終わってしまい、毎回物足りない。

批判を承知で敢えて書くが、私は「バガボンド」もあまり評価していない。私が吉川版「宮本武蔵」を知っていたというのもあるが、この漫画からもあまり井上雄彦のよさを感じない。少々厳しい言い方をさせてもらえば、特徴的な画に助けられている部分がほとんどだと思う。「バガボンド」は途中で読むのをやめてしまった。

「リアル」のこの先、もう少し漫画として考え直してほしい。

藤子不二雄Aの、漫画家になるまでの道程。


 私の敬愛する漫画家の一人、藤子不二雄。
そのうちの(A)、つまり我孫子素雄が書いた、自伝漫画だ。

話は彼ら二人が出会いから始まる。
Fである藤本弘が我孫子に話しかけ、それから二人は
漫画を書いたり、似顔絵を描いたりして仲が良かった。
ある日、手塚治虫の『新宝島』を読んで、衝撃を受ける。
そして彼らは漫画家を目指し、やがて上京し、かの有名なトキワ荘の仲間と出会う。

自分の失敗やそのとき感じたことなどを素直に書いている。
読んでいて「あ~わかるわかる」と感じるエピソードが多い。
漫画家としては藤子F不二雄のほうが好きな作品が多いが、
人間的には藤子不二雄Aのほうが親近感があって好きなのは、
この作品があるからだ。

登場人物の中には非実在の人物もいるようだが、
ほとんどは実在の人物。

トキワ荘のメンバーなどはともかく、
自分がフラレタ女性の存在など(実在らしい)も正直に書いている。
自伝漫画は他の漫画家のもいくつか読んだことがあるが、
なかなかここまで正直に書けない。

話は上京して仕事が順調に増えていってから、やがて大失敗し、
立ち直りはじめるという所で終わっている。
(その後、『愛しりそめし頃に』という続編がある)

内容的には、少年漫画というより、青年漫画と位置付けたい。
読み物としてのおもしろさもあるが、
それ以上に漫画史の資料的な価値も高く、
今日の日本の漫画の土台を築いてきた過程がわかる。

そして、いかに当時の漫画家たちが真剣に漫画制作に取り組んでいたかがわかる。
原稿を落とす=漫画家生命を絶たれるといっても過言ではないほどの
シビアな条件下で、互いに助け合い一つの作品を完成させていくのだ。

現代の漫画家が当然のように「今週は休みま~す」と言っているのを見ると
だまってこの漫画よめ!と言いたくなる。

余談だが、小生は8年ほど前、たまたまトキワ荘の近くに住んでいたことがあり、
実際に訪れてみたこともある。
現在は存在しないようだが、そのときは建て替えられたトキワ荘があった。
看板は赤塚不二雄が描いたものであり、サインがあった。
目白通りを歩いていて、まんが道で見た情景が頭に浮かんだものだった。

映画のようなファッションセンスと画。





10年以上前の漫画だろうか。小生はまだ小学生であった。
スピリッツで連載されていたと思う。

ある日、小学校5年生のクラスに、代人教師がやってきた。
彼女はハリウッド女優並の美貌とスタイル、また、教師とは思えぬファッションで
登場する。
二日酔いは当たり前で、タバコも吸うし、かったるくなると早退する。
そんな女教師と生徒達のドタバタコメディ。

話は主人公が教師として赴任してから、生徒たちが卒業するまでの
3年間(生徒は当初5年生だが、留年するので卒業まで3年かかる)
の間、1話~3話ほどの読みきり形式で進んでいく。

大別すると、確かにコメディなのだが、
この漫画をコメディと一言で言い切ってしまうには惜しい。

たいてい、教師を中心とした学園ものは、生徒に好かれる先生がテーマで
それは“理想の教師”像を描いた作品を意味する。
本作品は、“生徒に好かれる教師” というのは結果的なものであって、
主人公はいい先生になろうとか生徒のことを第一に考えようとか
そんな気持ちは一切ない。
ただ毎日、自分の好きなように生きているだけだ。
もちろん、時に優しく、時に厳しく、
そして自分の生活を完全に秘密にし、幻のような存在として消えていく。

最終話を読んだとき、なんともいえない気持ちになった。
あえて言い表すと「変な感動」を覚えた。
切ない?というか不思議というか、夢を見ていた気になった。
本作品はそこまで完成度の高い漫画ではない。
(途中いらない話や無理やりとわかるような話がいくつかある)
だが、それらも含めて、すべて最終話を盛り上げるための一つの効力となっているのかもしれない。

本作品の最大の特徴として、画の綺麗さ、センスのよさがある。
画はDEATH NOTEのような写実的なものではないのだが、
センスがいいのだ。
特に主人公は毎回色々な(パリコレに出てくるような)衣装で登場する。
扉画は映画のワンシーンのようなものが多い。
コミック1巻ごとのサブタイトルにブリジットバルドーなどのセックスシンボル系の女優名が使われていたり、
題名の一つ一つが必ず映画のタイトルになっていることなどから
作者の映画好きが本作品にかなり影響していることがわかる。

少しクセのある漫画でもあるので、
あまり友人に勧めたりしていないのだが、
個人的には好きな漫画。

なお、私はスピリッツで読んでいたのでわかるのだが、
未収録の話が結構多い。
スピリッツに何とか読む方法はないかと聞いたのだが、
現状は無理だとの回答があった。
実は続編も出ている(2話で終了?)らしいが詳細は不明。
作者は漫画家を引退との説も。

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