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人間が豹に変身するという異色少女漫画
少女漫画界ではかなり名が通っている、篠原千絵の初連載作品。
ドラマ化、映画化もされた。
主人公の高校生、倫子には生まれつき腕に変な形のアザがあった。
そして、最近自分の体に異変が起こりはじめ、ふと暗闇で窓に映った自分の瞳が紫色であることに気づいた。
感情が高ぶったとき、自分の体は猛獣と化し、人を襲う。
また、変身人間の存在を信じ研究をしていたが、学会から変人扱いされ自殺に追い込まれた父を持つ高校教師、曽根原は倫子が変身人間であることに気づき、あの手この手で倫子を実験動物にしようと企む・・・。
これ以上はネタバレになるので、あまりかけないが、上記は内容のほんの一部。
単行本で全12巻。そのうち、6巻~7巻辺りから主人公は変わる。二部構成であるかのように感じるかもしれないが、実際話の筋は一つ。
作者の作品はこのように、ホラー、サスペンスをベースにしたものが多い。
本作品の後にも数々の名作を出している。
その中でも、本作品が小生が長年愛顧している作品だ。
画はお世辞にも上手いとはいえない。
少々雑な感は否めないし、特に少女漫画としてはいまひとつだ。
だが、話の内容は一線を画している。スピード感もあり、抑揚のつけ方も上手い。アクション漫画と比べても遜色ないほどだ。
作中、特に印象に残ったのは、主人公の体が段々と豹に近づいていく過程だ。
料理の最中誤って包丁で怪我をした際、なぜか血の匂いが香ばしく感じ、
我を忘れて舐め続ける、肉の焼き加減がかなりレアになる、
身が軽くなり、高い塀でも飛び越えられるようになる・・・。
私は映画 『ザ・フライ』 で主人公が段々とハエ男になるシーンを思い出した。
よくよく考えてみるとかなり残酷な話だ。
つい先日まで普通の女子高生として生活していたのに、突然自分の生活が一変してしまうのだ。
よく、少女漫画は、主人公を読者の憧れの存在にしたり、共感を得られるようなキャラクターにすることが多い。
だが、本作品では 「私がこうなったらどうしよう・・・」 「かわいそうに・・・」 と思わせるようなどちらかといえば
悲涙を誘うような内容だ。有り得ない内容なのに妙にリアルだったりする。
だが、悲しんでる暇はない、と言わんばかりに話はどんどん先へ進んでいく。
常に雨が降っているような感覚だ。
高評価をしたい作品である。
ドラマ化に関しては語る価値もない、とだけ言っておく。