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抑揚のない話の中に引き込まれる
花とゆめで連載されていた少女漫画。
少女漫画でありながら、恋愛ストーリーはほぼ皆無である。
主人公も男子学生である。
物語は大学受験を控えた主人公が国立大学(H大となっているが、
クラーク博士の銅像などが出てくることから、北海道大学であることは間違いない)
の獣医学部に入学し、獣医になるまでの間、そこで起こった様々な出来事、
学生生活を淡々と描いている。
(時間軸は繰り返すことなくしっかりと進んでいくが、話は一話完結型である。)
恋愛ストーリーがないのも特徴の一つであるが、その他、ドラマティカルに盛り上がる話もほとんどない。
敢えてどのカテゴリーかと問われればギャグ漫画であるが、腹を抱えて笑ってしまうような話もない。
ノンフィクション系のフィクションで、実際の登場人物は架空(一部モデルがいるらしい)であるが、
登場する大学、動物園などは実際に存在するものが多い。
取材もかなり綿密に行われており、コミックの最後のページには“この漫画を描くにあたって多くの人に協力していただきました” という言葉とともに、たくさんの名前が書かれている。
画のレベルは最高級で、特に動物を描かせたら右に出るものはいないと思えるほど
写実的で、また、特徴を捉えるのが巧い。
その中でも、動物にも感情的な表情を持たせるなど、単なる写生ではなく“漫画”になっている。
動物にはセリフといえるものがあり、吹き出しにこそなっていないが、
同じコマ内にレンダリングされたような文字で書かれている。
それは、非現実的なはずなのに、違和感はない。
まるで、本当に動物はこう思っているのだろうという錯覚さえ覚えることがある。
“獣医”という漫画としては取り上げ辛いテーマであり、さらに物語に盛り上がりがないので
いったい何が面白いのかと問われれば答えようがない。
今まで読んだ漫画の中でも最高傑作だといえる作品でもないが、
初めて読んだときはなんとなく最後まで読みきってしまった。
今でも好きな漫画の一つで、たまに思い出したように読みたくなる。
そんな不思議な作品である。
専門用語はたくさん出てくるが読んでいて疲れない。
今時の言葉で言えば癒し系なのかもしれない。
昨今、漫画のドラマ化が著しく増えたなかで、
この漫画にもドラマ化の魔の手がのびてきた。
漫画のドラマ化に断固反対しているわけではないが、
ドラマ化できるものとできないものがあることをしっかりと判断してほしい。
この作品のドラマは少ししか見ていないが、ドラマとしては失敗であると思う。
なお、この作品によってシベリアンハスキーがブームになったが、
あまりの成長ぶりに手に余ってしまい、捨てる飼い主が増えたことが社会問題になった。
このような作品が若者に影響を与え、獣医という仕事に興味を持つことはいいことだ。
登場する動物がかわいいからと新たにペットを飼うことも悪いことではないだろう。
だが、動物を一時のブームとして捉えるには、『ヒカルの碁』のように碁がブームになって
やがて飽きてやめてしまった、というのとはわけが違う。
良識のある大人としての行動をとるべきである。